IC21のブログ

2017/10/27

賃貸住宅の空き室を防ぐ!【ペット可物件にして、ペットが喜ぶ家にするなら?】

 

こんにちは、IC21です 。

しばらく雨が続いていましたが、昨日から気持ちのいい秋晴れですね!

読書の秋、食欲の秋、みなさんはどんな秋を楽しまれているでしょうか?

さて今日は、賃貸住宅の空室を防ぐシリーズの【ペットが喜ぶ家にするなら?】をお伝えいたします。

 

現在、新築で分譲されるマンションのおよそ8割はペット可物件ですが、賃貸においてはそれほど多くないのが現状です。原状回復や入居者トラブルを考えると面倒でコストもかかるし…というのがオーナーの本音なのかもしれませんが、需要と供給を考えれば、ペットを飼いたい賃貸希望者をターゲットにした物件は、それだけでも空室対策としては有効と言えるでしょう。ただし、単に「空室が続いているからペット可ということにしました」というのでは入居者はごまかせません。ペットを家族としてとらえる現代の風潮であれば、オーナー目線の「ペットを飼ってもいい物件」なのか、入居者目線の「ペットを快適に飼える物件」にするのかでより大きな差別化ができるのです。

 

一方で、はじめから「ペット専用」として新築された物件にはなかなかおいつけないのも事実でしょう。途中から「ペット可」にするには最低何が必要なのか、一歩進んでできるアピールはどんなことがあるのか特殊なペットは除いて、一般的な犬・猫について考えてみましょう。

 

「共用部の工夫」

ペット可の新築分譲マンションでよく見かけるのが、共用部の“水飲み場”や“足洗い場”。これがあることで、飼い主に便利なだけでなく、足の汚いままマンション内を歩かずに済み、キレイに保てるということもメリットの一つです。対象となる物件で、共用部に給水設備がある場合には、明確に「ペットの足洗い場」とサインを付けましょう。飼い主に利便性をアピールだけでなく、物件内をキレイに使うことを心がけてもらうことができます。また、近隣に散歩できる公園などがない場合には、犬との暮らしには不向きな物件となってしまいます。植え込みの一部や屋上が利用可能であれば、“ドッグラン”をつくるとよいでしょう。ペットと暮らさない人でもリフレッシュできる屋上庭園兼ドッグランとなれば、なおよいですね。玄関前の“リード用フック”は、鍵の開閉時に犬や猫を間違って放してしまう危険性を軽減してくれます。耐荷重性の高いものを選べば、買い物してきたものを掛けるフックとしても利用できるので、ペットを飼わない人でも歓迎の一工夫になります。

他にも、散歩帰りにポイッと捨てられる“糞ポスト”もあると便利でしょう。

 

ドッグラン以外はどれもすぐにできてコスト的にはかなり安くすみますが、物件情報として文字で雑誌やネットに掲載されれば、インパクト大。「ペット可」と表示する以外に「ペットを飼うのに向いている」ことをアピールすることが大事なのです。

「室内の工夫」

ペットを飼う人が一番気にしているのが“ニオイ”です。多くのメーカーからニオイを吸収する壁紙が販売されています。アンモニア臭、食べ物のニオイや体臭を軽減してくれる効果がありますので、利用すると良いでしょう。また、猫派の飼い主がよく頭を悩ませているのが、爪とぎによる“傷”。通常の壁紙では、下地まで傷が入ってしまうことも多いので、表面強化された壁紙を選定しましょう。壁の下部分だけを保護できる腰壁を取り付けるのもオススメです。腰壁付インテリアは好みが分かれますが、色によっては可愛らしいカントリー調の部屋にも、男性的な書斎風の部屋にもなりますので、ペットを飼っていない人でも好んで入居することもあるでしょう。また、これらはオスの犬を飼う場合にも効果的で、マーキング対策になります。

消臭と表面強化の両方を兼ね備えた壁紙は、現在のところ無いようですので、消臭機能の壁紙+腰壁の組合せや、消臭機能付き壁紙の中でもリフォームに適したもの(地厚な壁紙)を選ぶとよいでしょう。また爪とぎ用の柱をインテリアのアクセントとして作っておくというのも、ペットと楽しく暮らせる部屋としてアピールできるかもしれませんね。

“玄関用フェンス”は、お出かけ時や来客時の犬や猫の飛び出し防止に役立ちます。小さいお子さんのいる家庭でも、転落防止になるため喜ばれます。既製品でも多く販売されているので、検討してみるとよいでしょう。また、ペット可というとよく目にする“キャットウォーク”。既製品のモノですといかにも!となってしまいますが、IKEAなどの安いウォールラックを段違いで取り付けるだけで、立派なキャットウォークになります。ペットを飼わない人でもオシャレな飾り棚として使えるのも魅力です。ただし、耐荷重の確認はしっかりとしておきましょう。

忘れがちなのがペット用の荷物を置く“収納スペース”です。フードやトイレ用品、リードなどの散歩グッズ、洋服やおもちゃなど、子どもと同じくらい荷物があります。リードや散歩グッズの収納には、玄関横にフックが多いコート掛を用意するのもオススメです。また先ほどキャットウォークで提案したウォールラックにポールを付けておけば、ペットの洋服を掛けられ、みせる収納になりますね。

このように室内をペット仕様にしても、他のターゲットにもメリットになるものは積極的に取り入れて見ましょう。

 

「ルール作り」

ここまでは、「ペットを快適に飼える物件」にするために、共用部や室内で取り入れるとよい設備についてオススメしてきました。しかし、単にこれらをそろえればよいというものではありません。ペットは生きものである以上、鳴いて迷惑になることもあれば、ニオイがきつくなることもあります。入居者同士のトラブルになることもあるでしょう。オーナーが安心して提供でき、入居者も楽しくペットを飼える物件にするには、エレベーターのある物件であればエレベーター内は必ずペットを抱いて乗るなどのルール作りと、入居者=飼い主のモラルが重要です。入居の際は管理会社ともよく連携をとり、入居者へ丁寧な説明をし、ルールを守って気持ちよく使ってもらいましょう。普通の賃貸以上に管理も重要です。汚れた物件はキレイに使う意識も薄れます。反対に、常にキレイに管理されている物件なら糞尿の始末や足洗い場のような共用部分の使い方も保てるはずです。オーナーは管理会社に任せっぱなしにすることなく、足を運んでチェックし、飼い主もペットも喜ぶ賃貸物件づくりを心がけるとよいですね。

 

【筆者プロフィール】

著者 IC21 木村玲子

プロフィール

インテリアコーディネーター/カラーコーディネーター/照明コンサルタント

リフォーム会社・マンションデベロッパー系インテリア商品販売会社を経て、現在はフリーランスのインテリアコーディネーターとして、個人邸・賃貸住宅のリフォームデザインや、カーテン・家具のコーディネートを手掛ける。

IC21(http://www.ic21.net)とは、女性100人のインテリアコーディネーター集団。企業・ユーザーの間で住まいのデザインを中心に活躍中。