IC21のブログ

2017/11/10

デザインリフォームの見せテクとプロの常識【和室の活かし方】

こんにちは、IC21です 。

お鍋が恋しくなる時期ですね。こたつで土鍋を囲んで。。。冬になると和室が落ち着くのは私だけでしょうか?

さて今日は、デザインリフォームの見せ方テクとプロの常識シリーズの【和室の活かし方】をお伝えいたします。

 

「和室」と言うとまず思い浮かぶのは「畳」。私達、日本人にはとても馴染みがあり少し前まではどの家にも当たり前のように畳を敷き詰めた「和室」が存在しました。畳の語源は「たたむ」ことを意味、折り返して重ねる意味でもあり、たためるもの、重ねられるものから敷物の全てを意味したもので、これが「畳」の起こりのようです。

全部屋「和室」が普通の時代から生活様式の変化と共に「洋室」が増え「和室」の存在自体が薄れつつあり、特に最近では賃貸マンションでも和室のある物件が少なくなっています。核家族化で一世帯あたりの居住人数は減っていますので、一部屋のスペースは狭くても部屋数重視だった間取りから、部屋数は少なくても広く快適に暮らせる間取りを求める人も増えてきたため、人気のない畳の部屋が消えていきました。

ではマンションには和室は必要ないのでしょうか?和室を必要とするニーズは少なくなっているものの、実は必要と感じている人も意外と多いのです。和室のない事を承知の上で入居した人の中にも「やはり畳のある部屋がほしい」と置き畳を敷いたりして和室を造る方もいます。理由は「和室があると落ち着く」「ちょっと横になるのにフローリングよりは畳の方が気持ち良い」等、理由は様々ですが確かに必要としている人が存在するのも現実です。畳の持つ感触やい草の香りなどもリラックスできる要因と言えるでしょう。

 

大規模工事なしでおしゃれに見せるコツ

和室から洋室にリフォームするのか、そのまま和室を利用して小規模な工事又は工事なしで昔風の和室からモダンな和室に変身させるのかは、立地や周辺環境などによって変わります。入居者の世代やタイプなど傾向をよく分析する必要があるでしょう。

マンションではリビングに隣接する和室が多いのですが、どうしても和室だけがどこか古臭くリビングとの一体感も出しにくい為、素敵な和室にするにはどうしたら良いか迷う人も多いようです。洋室と一続きにしても違和感がない明るくモダンな和室なら利用したくなるでしょうし空間全体としても統一感が出ます。

ポイントの一つに色が挙げられます。根強い人気のナチュラルモダンなリビングと和室を融合し統一感を持たせるには色数を減らす方法があります。襖は無地、畳は縁なしの半畳(琉球畳)とし和の持つ雰囲気を極力抑え一体感を持たせることでシンプルなお洒落感を演出しましょう。またリビングに合わせてカラー畳を用いるのもイメージが変わり洋に近い和の雰囲気を出してくれます。

 

大胆な色や柄を取り入れて和室のイメージを一新

色数を減らすのとは逆に思い切って色を取り入れる方法もあります。

壁は襖、畳縁に色や柄を取り入れ和室に個性を加えるだけで、古臭いイメージが一新します。襖紙は色や柄の種類が限られますが、壁に使用するクロスなら多種多様な中から選ぶことができますのでイメージやコンセプトに合わせ、シックにもポップにも変更可能です。

(写真1、2)その場合、下地に木が張ってあると戸襖なら大丈夫ですが、普通の襖にクロスを使用すると襖が反ってしまうので注意しましょう。どうしても使用したいなら、裏表とも同じ素材のクロスを張るようにします。

(写真1)床の間のアクセントクロスに合わせ戸襖に輸入壁紙を使用

 

 

(写真2)ポップな壁紙を襖に使用しイメージ一新。

 

(写真3)塗装の壁と輸入壁紙を使用した襖で大胆な和の色の組み合わせ

 

一般的な襖紙にもオーナーさんが思っているよりずっとたくさんの色があります。

どれを使っても工事費は数万円のアップで済みます。

和室に色を用いる場合には、いわゆる洋の空間に使われるくっきりとした色ではなく日本古来から使われている柿色、若竹色等「和」の色を用いるようにするとよいでしょう。和の色はあざやかさ(彩度)が低い色が多いので濃い色を選んでも馴染むのです。モダンな和にしたい場合は少々濃すぎるかな?と思うくらいの色でちょうど良い感じになります。インテリアはファッションのコーディネートに似ていると思われます。和室の場合は着物のコーディネートを意識して色の組み合わせを考えるとよいのです。(写真3)

その場合は和室以外の部分にも「和」の雰囲気を持たせるなど賃貸ならではの遊びを加えてみると良いでしょう。(写真4)

 

 

(写真4)和がコンセプトの一室はトイレ周りもジャパニーズモダンなクロスを使用。

 

薄暗い和室を明るく快適な空間に

ここまでは主に色の事について述べてきました。畳や建具など少し手を加える事で大掛かりなリフォームをしなくても昔風の和室から素敵な和室に変える事ができるのです。

しかし、つい忘れがちな部分があります。それは天井です。和室の天井は板張りになっている事が多く茶系の色がほとんどです。天井面に茶系のように濃い色が使われると、どうしても部屋が暗くそして低く感じてしまいます。その場合、壁と合わせて天井を白系のクロス貼り又は塗装する事で何となく薄暗かった和室は天井が高く広々とした空間に感じられます。クロスと言うとビニールクロスが主となりますが、漆喰調など一見ビニールには見えないものも多く、太陽光を反射しやすいので和室全体が明るくなると同時にメンテナンスが楽というのもポイントです。

塗装の場合には天井、壁ともに珪藻土壁材を使用する事で自然素材ならではの柔らかな感じに仕上がります。珪藻土にはホルムアルデヒドを吸着除去分解する脱臭機能と、部屋の湿気を吸放出する調湿機能がありますから室内での過ごしやすさは快適になります。

見た目の明るさだけでなく体感的に快適な空間というのは入居者自身にとって気分的にも明るくなるものです。デザインだけでなく体にやさしい素材を使うというのは、健康指向の高い昨今、入居者にとってはチェックポイントの一つにもなるでしょう。

また、照明器具についても考えてみましょう。畳の上に座る和室は目線の高さが洋室よりも約40㎝程低くなります。そのため、洋室よりも低めの位置にペンダントライトを吊り下げたりフロアスタンドを置く事で落ち着きとやすらぎが感じられる空間になります。

賃貸マンションに照明器具を予め設置する際には薄型のシーリングやダウンライトなどフラットなデザインにするとよいでしょう。室内全体へ明りが行き渡りモダンな雰囲気の和室となって入居者にとっても自分なりのインテリアを楽しむ事ができます。

築年数の古い賃貸マンションは和室のあるお部屋が多いですが、単に和室を洋室に変えるだけでなく今ある形を活かしながら少しデザインを変える事で素敵な和室に生まれ変わります。オーナーがどのような物件にしたいのか?という事を考え、インテリアのプロの知恵を借りる事もとても重要です。