IC21のブログ

2019/12/23

空室理由から考える!~デメリットを魅力に変えるポイント  「不人気の1階住戸」~後篇

1階の住まいにおススメしたい家庭として、前回は「小さなお子様がいるご家庭」向けのアイディアのご紹介でした。今回はその続編です。

「シニア向けの住まい」
1階住戸ですと共用スペースの移動距離が少なく、エレベーターに乗る(待つ)必要がないので高齢者にとってはストレスの少ない環境でしょう。

せっかくの1階住戸なので特にバリアフリーに気を使いたいところ。

室内の敷居などのちょっとした段差はホームセンターで販売しているミニスロープを使用するのがお手軽です。浴室にはスノコを敷き、ベランダにはウッドデッキを設けるとバリアフリーにすることができます。
その他工事を伴いますが、改善したい項目を6つあげたいと思います。

①車イスでの移動を考えて住戸内の扉は全て引き戸にし、大きめのハンドルをつけましょう。

間取り的に引き戸の納まりが難しい場合には開き扉のドアノブをチェックしてください。

回すタイプのドアノブ(握り玉)を使用している場合はレバーハンドルに交換しましょう。握力が低下してくる高齢者にとって“回す”という作業よりも“上げる・下げる”いう方が開閉しやすいです。このことは水栓の蛇口にも置き換えられますので、回すタイプの場合は上げ下げタイプに交換しましょう。(事例3)

 

回しずらい握り玉のドアノブ

 

高齢者にも使いやすいレバーハンドル

事例3:回すタイプのドアノブ(握り玉)とレバーハンドル

 

②フローリングを塩ビフローリング柄の床材に変えましょう。塩ビ材は汚れや水分が染み込みにくいのでフローリングよりも清掃性が高く、車いすで移動しても床に傷が付きにくいのでおすすめ。

③浴室やトイレに手すりをつけましょう。この時に選ぶ手すりは、寄りかかることができて力をかけやすいL型形状のものだと実用性が高いですね。

④居室の出入り口や廊下には人感センサー付きのフットライトを。夜間移動するときにまぶしくなく足元を照らすので安心感を得られます。

⑤洗面台をデスクタイプに交換。車いすはもちろん、イスに座って作業ができるので高齢者にとって使いやすい洗面台になります。

 

デスク型洗面台TOTO

事例4:デスク型洗面台(TOTO)

 

⑥間取りのリフォームを行う場合は、トイレは居室の隣に設けると良いでしょう。難しい時には介護用の‟ベッドサイド水洗トイレ“という商品がありますが、こういったトイレを入居者の方が購入して設置することができるように居室への配管工事ができるか検討しましょう。

 

ベッドサイド水洗トイレTOTO

事例5:ベッドサイド水洗トイレ(TOTO)

 

介護が必要なご家族にとって寝室に給排水配管があるというのは、入居の決め手になる嬉しい配慮でしょう。

このようにターゲットを絞ることで入居者の立場に立ちやすくなり、リフォームポイントが見えてきます。入居希望者にとってはオーナーに会わずとも人柄や想いがよく分かるリフォームは、自然と入居率UPに繋がることでしょう。

 

 

 

プロフィール:著者 IC21 目黒 裕子

インテリアコーディネーター / 宅地建物取引主任者 / 2級建築施工管理技士 /カラーコーディネーター1級 /照明コンサルタント

モデルルームコーディネーション及び、住宅、店舗、歯科医院などのデザインから施工まで、内外装にまつわるトータル業務を行っている。